柳町で商う人々Persons of YANAGIMACHI
- 仕事ってなんだ?
- 01 ものづくりカフェ こねくり家
- 02 ハレノヒ柳町フォトスタジオ / 笠原 徹
- 03 和紅茶専門店 紅葉 / 岡本 啓
- 04 鍋島緞通 織ものがたり / 木下 真
- 05 megumi / 森 恵美
- 06 minade / 江口 昌紀
- 07 よそほひ処 二葉 / 荒川 国子
- 08 ステンドグラス工房 グラスパレット / 西村 尚子
- 09 くみひも屋 絆 / 池田 ノリ
- 10 ブルームーン / 江副 由美子
東京の巨大案件を、
佐賀でバリバリとこなし、
IT×◯◯で地域循環の
コンセプトモデルをつくる!

ゴビ砂漠250㎞マラソンで優勝した社員もいるぞ!
福島南会津での「IT×スポーツ」の取り組み。
― 僕も佐賀で高校時代サッカーしてたんですが同意見です(笑)。認知心理学でいうアフォーダンス(行為者とモノや環境との物理的な関係性)ともつながりますが、例えば目の見えない人は違う機能や感覚が発達したり、都会は身体を使わなくても生きていけるけど、自然の中だと平らではない道が多かったりするわけですからね。今から世の中の豊かさの指標の計られ方というのが見直される時期に来たんだろうなぁと思いますよね。
ええ、そうですね。2006年にこっちの拠点を作ったときよりも、「地方で仕事できるならしてもいい」っていう若者は毎年のように増えてきてるんですよね。 佐賀にはまだ東京出身の新卒はいないんですけど、うちの福島南会津の拠点(クラウド・キャンプ)には東京生まれ-東京育ち-東京の大学-大学院でいきなり新卒でうちに来て、自然の中で生活している人間もいます。アスリートも社員で1人いるんですよ、ゴビ砂漠での250㎞のマラソンで優勝したメンバーが (笑)。ITの会社なんですけど全然ITに関係ない人もいますね。
― 確かにホームページを拝見しても、身体的な感覚や健康を重視されていて、そういうIT企業も珍しいですよね。さっきface-to-faceでやらないといけない領域もあるっていう話も出ましたが、今後EC(通販)とかITとかが発達していく中で、人対人の関係がどうなっていくんだろうなと。
私なんかはそういう意味では、大学時代にパソコンが出始めたので、一番長くいい影響も悪影響を受けている年代なんですよね。IT業界そのものがまだ若い業界なので、技術者として、定年まで開発を続けたいという人も、中にはいるかもしれませんが、若い時一生懸命プログラミングやデザインをある程度の期間やって、50歳・60歳まで続けた延長線上にキャリアがあるのかというと難しいかなと思っていて…。あくまでもITはツールなので、やっぱり外とつながること、人と人とのつながりだったり、他の業界とのつながりだったり、そのうまい潤滑油になるのがITだと思うんですよね。だから「IT×何か」というのがこれからのIT業界の人たちには必要だなぁと思っていて、それがうちにとっては「IT×スポーツ」や「IT×ものづくり」だったりするわけです。 新しい福島の南会津に関しては、たまたま元保養所だった拠点があるので「IT×スポーツ」をやってるけど、その他にも共同研究しているプロジェクトとして 「IT×自然エネルギー」という取り組みも行っていますし、基本的にはITやデザインというツールがあって、そこに地域地域の色んな良い資産とコンテンツを当てはめて行けばいいかなと思っています。それがまたコンセプトモデルとして、他のところでも広がって行けばいいなという将来像もあります。
― 南会津町への進出のきっかけはなんだったんですか?
日本の色んな自治体が企業誘致を行っていますが、ほとんど工場の誘致みたいなのが中心で、なかなか若者たちが長く働ける場所ができないんですよね。そこで我々のこの佐賀でのニアショアのモデルを参考にして、南会津町の方がソフトウェアの会社を誘致したいなって考えられて、最初はケーススタディーに来られていたんですけど、色々と話をしていく中で、EWMに来てもらってそこを呼び水にして他の企業にも来てもらうのが面白いんじゃないかっていう相談を受けたんで、そうおっしゃるんであれば行きましょうと。2014年4月から拠点がスタートしました。南会津町は自然豊かで人口は2万人弱と佐賀市の10分の1ですが、土地は佐賀市の2倍くらいあるんです。そういう場所なので、拠点を作るにもいわゆるオフィスビルもないから、どうしようかと。そうしたらたまたま、昔東京都立大学が作った保養所で、その後関東圏の中高一貫校が使っていたんですが、震災以降福島っていうだけで敬遠されてしまったという、使われていない立派な建物があったんです。見に行ったら余りにオフィスとしては大きすぎるんですけれども「オフィス兼合宿ビジネス」ができるかなと思って、じゃあこのままうちが譲り受けますいうことで、スタートしたんですね。
― そういうスペース利用は今からすごく大切ですよね。八女でも職人が沢山いるけど徒弟制度がもうなくなっているので、給料払ってまでは呼べないけど次の世代を探しているところは沢山あるし、現場で学びたいという学生や若い人も結構いるんですけど、うまくマッチングができていないんですよね。宿泊施設と交通手段をしっかり整備して、インターンシップとかを受け入れられる施設があればいいなぁとは思うんですよね。
そうやって使われていない遊休資産って地方には沢山あって、小学校の廃校はどこの町も課題ですよね。そこを職人の人たちが教える場だったり、宿泊の場として活用するというのは必要ですよね。やはり今までにない活用の仕方を提案していって、実績も積んでいけばより優秀な若者が来る可能性はあると思うんですよね。佐賀でも温泉地にある廃校の活用に関して相談を受けているので、これからいろんな取り組みをやっていきたいと思っています。