建築リノベーションとしての柳町
- 01 建築資源活用の柳町においてのポイント
- 02 建物 改修前、改修後。リノベーションってなんだ?
- 03 OpenAの柳町に対する考え方 / 馬場正尊
- 04 OpenA 鈴木みのりによる建築的な森永家・久富家
- 05 佐賀市役所の仕掛け / 都市デザイン課 武藤英海
- 06 古賀銀行 / 音楽イベント、カフェとしての文化財活用
OpenA 鈴木みのりによる建築的な森永家・久富家
設計をした鈴木さん
アドリブだらけだった
旧久富家・旧森永家の改修
職人さんたちと奮闘した
汗と涙の結晶をご覧あれ!
初めてお会いした時、なんてクールビューティーな方!と思ったOpenAの鈴木さん。旧久富家・旧森永家のリノベーションの企画・設計を担当し、3年間に渡って現場で関わり続けた、柳町の重要人物です。建築的なこだわりポイントを教えてもらうべく、柳町を一緒にブラブラ歩いていると、旧久富家・旧森永家のあっちこっちに、工夫と苦労の痕跡が隠されていました。鈴木さんの前に、徴古館の主任学芸員の富田さんに歴史的観点からの柳町も案内してもらったのですが(p.144〜「ブラトミタ」参照)、鈴木さんの建築的観点からのお話を聞くと、柳町がまた全く違って見えたのが面白いなと思い、今回特集にさせてもらいました。例えば、江戸時代に佐賀城下町でよく使われた「赤石」。歴史的観点から見たら「萌えポイント」でも、建築的観点からすると「脆くて困る」石。そんな視点の違いが、町の見え方をより面白くするのだと思います。リノベーションの大枠の方向性が決まった後は、ひたすら予算と法律と時間との戦い。敷石・壁・サッシ・渡り廊下など、たくさんの細かいポイントを、今回の改修工事を施工した、宮地建設の職人さんたちと、アドリブ満載の創意工夫で形にしていくプロセスです。職人さんたちとは最初は距離があったそうですが、途中からスッポンをもらったり、一緒にイノシシ焼肉ランチをしたりして、信頼関係を築けたそう。「職人さんたちが想い入れを持って、職人魂で改修した建物なので、使う人たちにも建物を大事に使ってもらって、次に引き継いでもらいたい」と語る鈴木さん。この特集では、鈴木さんが職人さんたちと試行錯誤した、汗と涙の結晶の一部をピックアップして、写真と共に紹介していきたいと思います。
OpenA
鈴木みのり / Minori Suzuki
1983年神奈川県横浜市生まれ。2005年武蔵野美術大学造形学部工芸工業デザイン学科卒業。2005年から2007年までメーカーデザイナー。2009年からOpenAに入社。設計を中心にしながら、まちづくり、編集も行う。現在、佐賀常駐2年目。佐賀県サガプライズ!プロデュースオフィス(東京)の内装や、嬉野交流センターのまちづくりのプロジェクトにも関わる。