建築リノベーションとしての柳町
- 01 建築資源活用の柳町においてのポイント
- 02 建物 改修前、改修後。リノベーションってなんだ?
- 03 OpenAの柳町に対する考え方 / 馬場正尊
- 04 OpenA 鈴木みのりによる建築的な森永家・久富家
- 05 佐賀市役所の仕掛け / 都市デザイン課 武藤英海
- 06 古賀銀行 / 音楽イベント、カフェとしての文化財活用
建物 改修前、改修後。リノベーションってなんだ?
入居者よ、
ここからよく想像した!
リノベーションって何だ!?
次項のOpenAの馬場正尊さんへのインタビューでも議論するのですが、今「リノベーション」の定義をもう一度しっかりと見直す必要があると思います。Googleさんで「リノベーションって何?」と検索窓に入力して聞いてみると、当たり前のようにWikipediaが出てきます。一般の人が使う最も身近な調べる媒体として、これを引用しようと思います。「リノベーション(renovation)とは、既存の建物に大規模な改修工事を行い、用途や機能を変更して性能を向上させたり付加価値を与えることである。マンションの一部屋から一棟、また、木造・RC造・鉄骨造等、特に構造に関係なく行うことが可能」。そこにはこう記されています。これは建築構造物や機能上ハードな面を中心に改修を行なうという印象を受けます。しかし、やはり仕組みと仕掛け、周辺環境からの影響もしっかりと考えながら改修を行う必要がありますし、スケルトン・インフィル的な、器をしっかりと構築しながら、中を使用する上で必要な機能的な部分は入居者の事業に合わせて構築した方が絶対にいいと思います。そしてお節介かもしれませんが、そこが経済活動として自立していけるような仕組みとシステムまで乗っけて考える。さらに、まちとして、そこが機能するかということまで考える必要があります。そういう状況まである程度想定した上でのリノベーションだと僕は考えます。この柳町に関しては走りながら考えたという痕跡があらゆるところに残されていて、実験的なプロジェクト事例としてもとても有効だと思っています。実際、今この建物のすべてのスペースは埋まっていて、事業者、そして今から独立していこうという人々が入居しています。改修という物理的な行為から一年間たった現時点では、ある程度成功していると思います。入居者同士が「柳町のれん会」という自治会をつくり、定期的に話し合いの場を設けながら情報交換を行なっています。そうやって自活していけそうな可能性も含むような改修のあり方を探って行くことこそが、今後のリノベーションのあり方を決定していくのではないかと思います。写真館をされているハレノヒの笠原さんから改修前の写真を頂いて(さすがカメラマン、しっかり撮ってます)、僕は学生の時に建築を学んでいた身ではあるのですが、この改修前の写真を見て「よし、ここで事業を起こそう!」という気にはそこまでなれませんでした。でも、今入居している方々は、大いなる想像力と決断を持ってここに入居することを決めたのだと思います。賞賛。